メディファーマ奈良

「桃」の蕾、種子などは薬にも(友の会だより2021年3月号)

3月になりました。3月3日は雛祭り。女の子の健やかな成長を祈る節句です。雛祭りに欠かせない花は、もちろん「桃」ですね。

梅、桃、桜と季節は少しずつ春に向かいますが、これらの花は、すべてバラ科の植物です。そしていずれも品種により、生薬として利用されています。

桃は弥生時代には中国から伝わっていたとされ、日本では古くから食べられていたようです。生薬としては、2月~3月頃の開花期の蕾を採取し、陰干ししたものを白桃花(花蕾)といい、緩下剤として利用されています。

6月~7月頃の熟した果実の中にある「種」と呼んでいる殻を割り、中から「種子」を取り出し、天日で乾燥したものを「桃仁」として利用します。これはアーモンドによく似た外観をしています。「桃仁」は産前、産後、血の道、月経不順や更年期障害に使われるほか、アンズ(バラ科)の種子から作られる鎮咳去痰薬の杏仁水の代用にも用いられます。

桃の種子や未熟果実、桃の葉は、青酸配糖体のアミグダリンを含んでおり、薬効成分として利用されていますが、誤った利用をすれば、青酸中毒を引き起こすこともあります。

よく熟された甘い桃の果実は、問題ないのでご安心ください。

では、また次号をお楽しみに。